歯の脱臼と再植
先日の午前中、中で仕事をしていたら、受付で何かあったのか??・・・話をしている会話の声が慌てている。聞き覚えのある女性の声だなあ~~。
数分後、『先生、山本小学校の生徒が・・・シーソーの遊具で・・・』
そうか、あの声は・・・保健の田中先生の声だ‼
『歯が折れたか脱臼か聞いて~~。』
『先生、シーソーの取っ手に当たって、上と下の歯2本とも抜けてしまったそうです。』
『・・・・・すぐ入ってもらって・・・』
保健の田中先生の手には、綺麗に洗って水につけた上の前歯の乳歯があり、
連絡を受けた母親と2人、児童の口から出る出血量が多く、かなり心配している様子が伺える。
お母さんは、偶然にもうちの患者さんだった。仕事を抜けてきたけれど、事務員なので自分が居ないと仕事場が・・・と、
その日、たまたま仕事がお休みだったお父さんと入れ替わりで仕事に戻って行った。
『先生、2本抜けて探してみたんですが、1本しかありません!もう1本は中に陥没したんでしょうか?』
『出血が凄いので、止血してレントゲンで調べてみます。お水でも良いですが、出来れば今度からは牛乳があればなお良いです。』
『デンタルできました!』
『上も下も抜けてますね。年齢が7歳で、もう下の永久歯萌出が近いので、下の歯は再植しなくて大丈夫です。』
そう話す前のレントゲン現像中に・・・・・もうすでに保険の田中先生、素早い対応で学校に携帯で
『歯は2本とも抜けています‼もし、見つかったら牛乳につけてください‼』と連絡していたみたいで、
そのとき、職員室に居た先生方全員でもう1本の歯を運動場をくまなく探してくれて
いたみたいで、もうひとりの先生が、下の歯も牛乳につけて持ってきてくれた。
結局、下の歯は必要なかったけれど、広いグランドの中を、
根吸収して石ころより小さくなった下の前歯を、先生方が四つん這いになり、
目を凝らして探してくれたのかと思ったら・・・・感動した。(T_T)
山本小学校の生徒さんは、本当に愛されて大事にされてるなあ~と、嬉しくなりました。
人の歯は、サメみたいに何回も再生されることがないので、特に永久歯再植は神経使います。
以前は小学校の掃除の時間に、モップで足を引っ掛けてしまって顔から床にこけてぶらぶらの永久歯前歯や、
中学校で自転車乗ってたら、友達に後ろから立ち乗りされて、バランス崩してコンクリートに歯ぶつけて
上の前歯抜けたの再植したなあ~。
最近では、看護師の女性の方が、病院で酸素ボンベ移動中に転倒して、
酸素ボンベで前歯をかなり強打して、上顎右前歯が通常の位置よりかなりの舌側傾斜・・・
こんなに内側に衝撃で入るものなのか・・・と驚きながらも、
・・・末広がりな歯は少々削合して元の位置に戻しました。
止血するまでの時間がかなりかかりますので、もしこのようなことに遭遇した時は、清潔なガーゼか布があれば、
グッと噛むか、手で押さえて圧迫止血してください。
歯が衝撃で抜けてしまったら、綺麗な水で水洗して汚れを落としてください。
ただし、洗う時は、歯根膜の部分に極力触らず、歯に付いている組織を傷つけないように、
軽く汚れを流す程度にとどめる事が大切です。
そのあとは、薬局で売っている保存液(生理食塩水)や冷たい牛乳などに浸して保存し、
無ければきれいな水につけて、すぐに歯科医院で再植してください。
抜けてからどれだけ短時間で再植するかで成功率が決まります。
最近は、外で遊ばず、家の中でファミコンやスマホでゲーム遊びをして過ごす児童が増えているせいか、
転倒した時、手をつけずに、顔や歯を強くぶつけてしまう人が増えています。
瞬発力を鍛えて歯を守りましょう‼やわらかい布団の上で、お子さんの背中を押して練習も良いかもしれません。
手の傷は比較的早く治りますが、永久歯はそれぞれが貴重な最後の1本の歯です。